本日のアジェンダ:翻訳,Evaluation
インターネットでの情報検索を日本語のみで行っていると,情報が十分に得られない場合があります.英語による情報が日本語よりも圧倒的に多い場合も少なくありません.自動翻訳は情報検索の助けになります.
ワーク:google 翻訳についてインターネット 検索をして,使い方を調べてください.
google翻訳はファイルを丸ごと翻訳したり,URLを入力するとページをすべて翻訳してくれたりします.ですが最大文字数(5,000字)を越えると,そこから先は翻訳してくれません.
また,翻訳精度はあがってきましたが,日本語としてはおかしい部分が結構あります.特に専門用語は専門家からすると「珍訳」になっている場合が多いので,Google翻訳の結果をそのままつかってレポートや論文を書くことは避けたほうが身のためです.
自動翻訳による英作文
日本語から英語への自動翻訳をつかうと英文を生成できます.ですが,入力する日本語のスタイルに気をつけないと,誤訳されたり,意味がわからない英文となってしまいます.自動翻訳により英文を作成する際のコツは,
ことです.つまりS+V, S+V+C, などの英語としてきちんと「文型」を満たして日本語文をつくる必要があります.特に主語の欠如には気をつけましょう.そのほか,略語はつかわない,簡潔な日本語にする,長文にしない,などを留意するといいでしょう.
また,相手に失礼だったり,常識的に「ありえない」単語を使っている場合もあるので,自動翻訳して作成した英作文はそのまま使わないように.
自動翻訳は作業効率を高めてくれる便利なツールであることは確かです.ですが,それは英語の勉強をあまりしなくていいわけではありません.しっかりと英語の能力をもっていないと「ただの時間の無駄」になりがちです.
ワーク Google翻訳をつかって英作文をしてみてください.
今日はSUNYの教科書の「Evaluate: Assessing Your Research Process and Findings」に相当する部分について扱います.前回は情報検索の仕方について,かなり高度なテクニックまでを学びました.今回は,検索した情報の「評価」について,一緒に考えます.
2020年5月25日に発生したアフリカンーアメリカンの男性の死亡事件に端を発し,米国は建国以来最悪の騒乱状態となりました.複数の勢力の関与が報じられ,SNSやメディアを通してさまざまな情報が飛び交っています.この騒乱の原因やなぜ全土に騒乱が広がってしまっているかについて,おそらく誰も正しいことはわからないでしょう.逆にいえば,さまざまな主義・主張・政治や工作活動が交錯しているため,情報のEvaluationつまり評価がとても難しくなっているのです.
7つの柱のうち"Evaluate"は以下の項目で構成されています;
Evaluateの柱を兼ね備えると,以下の能力をもつことができます.
テキストには情報源(SNS, ニュース,学術論文,著書)について,また,情報の正確性、関連性、バイアス、評判、信頼性について一般的な特徴が簡潔にまとめられています.Google翻訳などを活用しながら,目を通しておいてください.
情報検索を行う場合には,大量の書籍や書類をチェックする必要が生じます.すべての文献を最初から最後まで読んでいたのでは時間とエネルギーのコストがかかりすぎてしまいます.いかにコストをかけずに重要文献をみつけることができます.
タイトル,著者,要約をチェックすることがまず最初に行うことです.著者については
をチェックするとよいでしょう.つぎに要約 abstractのチェックです.英語の文献の場合には,翻訳システムをつかってこの部分だけを訳してチェック大まかな概要を掴むことも効率的です.
以上のプロセスを経て「内容までチェックしよう」判断したら,次に行うことが「導入, Introduction」だけを読んでみることです.
Introductionは,その資料の背景,内容,結果などについて,くだけた表現で書かれている場合が多いのです.また,予備知識があまりない読者を想定して書いてあるので,専門用語に悩まされることも少なくなります.資料全体を読むことになったとしても,文献の全体の構成が頭に入っていると,効率よく読めますし理解も早いです.
次に目次をチェックします.Introductionは文献にとっての「肉」のようなものです.そして目次が「骨」にあたります.目次をチェックすることで,その文献が「何に重点をおいているか」がわかります.
文献検索をしていると「よくある」ことですが,「これは目的にあった資料だな!」と思って目次をチェックしてみると,目当てにしている情報がほとんど書かれていないことがわかったりします.なので,目次をチェックすることは重要です.
文献検索としては,ここでストップします.ここまでで,文献の内容と概略をつかむことができました.なので,内容は読まずに,ここで検索の作業を一旦終了します.そして,ここまでに得られた情報をまとめておきます.
文献検索は後で参照するために行うのです.なので,せっかくおこなった検索については「記録」を残します.
など,自分がつかいやすいメディアをつかって,検索した記録を残しておきます.そのときは必ず,後からその資料を参照できるようにしておきます.ダウンロード資料なら,ファイル名を工夫してあとからわかるようにしておきます.
たとえば,「New York TImesのblacklives matterの発端の事件記事のPDF」なら,
"NYTimes_BLM発端.pdf"
のようなファイル名にしておけば,後からファイルを一つづつ開けて内容をチェックする必要はありません.そして,文献ノートには
情報源 | 日時 | 内容 | ファイル |
---|---|---|---|
NY Times | 2020.6.8 | BLMの発端の解説 | NYTImes_BLM発端.pdf |
... | .. | ... | ... |
などとメモしておけば,あとからこの資料が必要になった場合や,そのほかの目的で自分の手持ちの文献を使用する際に効率的です.
これで終わりではありません!
もし自分がみつけた資料が「信頼でき目的にあったよい資料」と判断したら,文献の最後にある「文献リスト」をチェックします.
文献リストはとても重要な情報源です
文献リストの3つのチェックポイント;
1.での”信頼できる文献”とは,国際的に知られている学術論文誌,公的な団体(国連や政府など)の刊行物(でも注意が必要!),その分野で重要とされている文献,などです.
公的な団体の刊行物で「注意が必要!」としたのは,大手新聞社の刊行物や新聞記事でも「平気で書いてもいないことを”国連の報告書によれば..”」などとフェイクの引用をする場合が少なくないからです.
2.の言明の裏付けとなる文献とはたとえば「40Hzの超低周波を聞かせるとアルツハイマー病の治療ができる」という言明があったとして,これはなかなかセンセーショナルな言明です.このような強い言明があったときには,必ず,引用文献があるか?その文献が信頼できるものか?をチェックする必要があります.
3.の著者以外の文献の引用は,その資料の質,公平性,正確さなどを評価するのに有用です.もし著者の文献しか引用していない場合には「要注意」です.
これには例外があって,その文献が2pぐらいの短いものの場合には,文献リストも短くなってしまうので,その場合には著者が過去に出版したものだけが引用されている場合もあります.
著者,Introduction, 文献リストとチェックしてきて,その資料が優良な資料だと判断できたら,文献ノートに「優良資料」とマークしておくとよいです.そして,次に行うことは,
ことです.優良資料であれば,文献リストもしっかりしているので,その文献リスト は専門家がおしえてくれている「チェックすべき資料」のリスト になっています.これはいわば「宝の山」です.
以上のプロセスを経て,優良資料をうまく抽出し,その資料の文献リストをつかって情報検索をすすめていくと,とても効率的に質の高い情報を集めることができます.なにしろ,一流の研究者や評論家が苦労して集めた文献のリストをそのままタダで使わせてもらえるのですから..こんなに楽で効率のよい方法はありません.
文献検索をしていくと,どんどんスキルが向上して,「すごい!」と思えるような情報や,社会の裏側を覗くような資料に出くわしたりしてワクワクしたりします.そして,途方もない量の情報を集めてしまいます.
ですが
あるていど情報検索を楽しんだら..レポートや論文の締め切りをチェックして,とりあえず情報検索を中断して研究や執筆を再開しましょう.
なぜなら,
研究や執筆を再開すると..情報検索すべきことが再び現れてくるからです.
課題:以下の1), 2)を行ってください.課題はフォームに書き込んで提出してください.
1) CRAAPテスト(以下)の資料を,Google翻訳などを利用して翻訳して,内容をまとめなさい.
https://library.csuchico.edu/sites/default/files/craap-test.pdf
2) 自分の気になっているニュースについてCRAAPテストのうち,AAPを行いなさい.ニュースや資料が複数ある場合はそれぞれについてAAPを行ってみてください.
今回はここまでです.
おつかれさまでした