情報リテラシー

第14回 プレゼンテーションの手順


プレゼンテーション

プレゼンテーションといわれると、何を思い浮かべますか?

クールなデザインのスライド、かっこいい動画、インカムをつけて颯爽と話す。このコースでたまにつかった映像資料のTEDにでてくる人々。

クールなスライド資料。

かっこいいスタイリッシュな動画。

もしくは「自己啓発セミナー」などの講師。

などなど。。

本コースでは「大学・研究者」としてのプレゼンテーションの基礎についてとりあげます。

 

まず大原則からいきます「プレゼンは技術です、才能や能力は関係ありません」

「技術」ということは、練習すれば身につけることができる、ということです。

まず、大学院生やプロの研究者でも「勘違いをしがちな件について」以下のワークをやってみましょう。


ワーク1 レポートとプレゼンテーションの違いについて考えなさい。


このワーク1は「なかなか深い」ワークです。

なぜなら、日本だけではなく海外の大学院生やプロの研究者でも、この2つの区別ができていない人々が結構多いのです。レポートとプレゼンテーションはちがいます. どのように違うか?についてはひとそれぞれの考え方があると思います。

正反対ですね。

このレポートとプレゼンが表現の方法として「正反対」であることを、あらかじめ心得ておくことが重要です。


ワーク2: なぜ、レポートとプレゼンは表現の方法が「正反対:なのでしょうか?


ワーク2を考察するためには「メディアのちがい」を考えてみると、はっきりとわかってきます。ここで「メディア」とは、TVや雑誌のようなマスメディアではなく、「情報を伝える手段」のことです・メディアのちがいに注目すると、いろいろなちがいがみえてくるとおもいます。たとえば、

のちがいがあります。

「書きことば」と「話しことば」のちがいとはなんでしょう?これは、かなり深い問いです。この両者のちがいを深く考えたのが、マーシャル・マクルーハンです。

彼は「メディア論」という学問分野を創設しました。その後、多くのメディア論の研究者がでてきましたが。。。あるノーベル賞受賞者はマクルーハンを賞して「ほぼ唯一の、読むべき価値がある哲学者」と言ったとか。。


意欲的な学習者への問い: 書きことば、と、話しことば、のちがいはなんでしょうか?

この問いに対する示唆(考えるヒント):ご存じかもしれませんが..ギリシア時代は1,000年以上ありました。実に1,000年以上にわたりギリシア人は「書きことば」を”恥”としていたそうです。「自分は書かなくても、すべてアタマで考えられる」というのが、当時の(といってもずいぶん長いですが)知的な人々の誇りだったそうです。

つまり、ギリシア時代とは「話しことば」の時代でした。なので、1,000年以上もあり、高度な科学や文明が発達したのにもかかわらず「活版術」のような、書きことばの技術革新は行われなかったのです。(当時、彼らがこっそりつかっていた道具がこれ)。

「話しことば」の1,000年。。。彼らはどうやって、哲学(当時は科学はありません。すべてが哲学です。「科学」が成立したのはずいぶん最近のことですから)をしていたでしょう?


たとえばあなたは、以下を聞いて、それをすぐに諳んじることはできますか?

これはなかなか難しい。でも、

これなら、ひと目、で把握できるし、記憶しやすいですね。同じ情報ですが、

です。「書きことば」にすると、その印刷物を所持することができ、いつでも読み返すことができます。たとえその印刷物が1,000頁あったとしても、たいして問題ではありません。それこそ、電子化してしまえば、どんな文字情報も瞬時に検索することができます。

つまり、

プレゼンテーションの手順

その1(そして、もっとも大切な手順)

プレゼンテーションの手順でもっとも頭をつかう必要があり、もっとも時間がかかることは、この一番最初の手順です。それは、

プレゼンテーション全体を、短い1文にする

です。気持ち的には、俳句を詠む、のと同じです。

「今日は何のプレゼンをするのですか?」との問に、

今日のプレゼンは「主語+述語」です。と、

な1文に集約させることが、プレゼンテーションで最初に行なうべき手順です。この作業は、なかなか大変です。新聞でいうところの「見出し」に相当する部分です。

すべてを1文に集約させるためには、細かい情報や詳細なロジックなどを、すべて切り捨てていかねばなりません。そして、根幹、の部分を見出す必要があります。

なんで、こんなめんどくさいことするの?

「それは、プレゼンが話しことばメディア、だからです」

「一言で、相手をしっかり惹きつけ、その重要性をアタマを使わせず直ちにわからせる」

これができないと、プレゼンはうまくいきません。

鋭く磨き抜いた「ことば」を相手に打ち込むことだけが、重要です。カッコいいスライドや動画、颯爽とした振る舞い、魅力的な笑顔、ファッション、スタイル、白い歯。。そこには本質は微塵もありません。TEDは世界的に有名な講演会で、たしかにスタイリッシュかもしれませんが、そのなかには「全く、アタマに入ってこない講演」が結構あります。

手順その2から先

「手順その1」からさきは、すべてを集約した短文(手順1)、を「解きほぐす」作業を行っていくことになります。さまざまなテクニックや技術があるのですが... 手順その1、だけで十分だと思います。

なぜなら、学生や社会人にプレゼンの指導を20年以上やってきましたが、ここから先にまで進んだひとを、ほとんど見たことがありません。そもそも「手順その1」をきちんとできた方は。。数えるほどしかいません。

(私は不思議でならないのですが...)なぜか、途中から自己流でプレゼンの準備をするようになっていく場合が9割以上、結果としては、レポートや論文をそのまま貼り付けたようなプレゼン、となります。そんな大量の文字データを、口頭で伝えられても「ほとんどアタマに入りません」.そんなプレゼンが長ければ長いほど、聞いているほうは睡魔との戦いになってきます。

プレゼンは、理屈を超えて、瞬時に相手の心を掴みます。これはレポートや論文ではできません。私は学術以外の分野でも、とても大切な技術だと思いますし、これまで私を支えてくれたのは「プレゼン」の技術です。

プレゼンは学会やゼミだけで行なうものではありません。友達に、先日買ったサブウーファーアンプがいかに凄いか、を伝えるのもプレゼンの技術ですし、父親にあたらしいPCの購入を援助してもらう、のもプレゼンの技術です。企業のトップ、特に、1代で巨大企業をつくってしまったようなCEOクラスの人々は、プレゼンの技術に長けています。ホンのすこし話しを聞くだけで、一発で心が掴まれて、その企業に興味を持たざるを得なくなります。それは会議の合間の数分や、移動の時の数分なので、スライドや資料もTEDばりのショーアップもありません。ビジネスの戦いのなかで鋭く磨き抜かれた、平易で短いことば、に心奪われるのです。

私はプレゼンの技術は、情報リテラシーとしても、大学高等教育としても、社会やコミュニティのなかでも、重要だと思うのですが...


課題:以下のサイトから、パワーポイントの使い方、を自習してください。そして、自習で作成したファイルを添付して提出してください。ファイルの内容は問いません。

https://support.office.com/ja-jp/article/powerpoint-for-windows-%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0-40e8c930-cb0b-40d8-82c4-bd53d3398787?wt.mc_id=otc_home

今回は以上です。おつかれさまでした.