情報リテラシー

第5回 ネットワーク情報社会の倫理,エチケット


本日のアジェンダ:情報セキュリティ研修は各自で必ず受講してください(たぶんガイダンスでも指示があったと思います).情報セキュリティは喫緊の課題で,日本は世界的なターゲットになっているため,もうすこし具体的に掘り下げます.また,SUNYの教科書の内容「いかに情報のギャップを知るか?」(2つ目の柱)についてを取り扱います.


情報倫理とはなにか?

まず,情報倫理についての概略について,以下のユネスコ Information fo All Programme (IFAP)の公式ビデオをよく,みてください.とても短いビデオなので内容が理解できない場合には,日本語字幕をつけるなどして,まず「なにを言っているのか」を把握してください.

自動翻訳で日本語字幕などをつける方法は第3回におこないました.覚えていないひとはhttps://tft-pub.info/literacy/3.html を参照にしてください.

「情報倫理」はユネスコIFAPの「6つの優先課題」うちの1つになっています.IFAPの情報倫理はUniversal Declaration of Human Rights:世界人権宣言に基づいています.よって「情報倫理とはなにか?」を知るためには,世界人権宣言をチェックしておく必要があります.

世界人権宣言外務省のWebページへのリンク(和文)

この宣言の法の精神(前文)

人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、  人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので、  人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人権保護することが肝要であるので、  諸国間の友好関係の発展を促進することが、肝要であるので、  国際連合の諸国民は、国際連合憲章において、基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の同権についての信念を再確認し、かつ、一層大きな自由のうちで社会的進歩と生活水準の向上とを促進することを決意したので、  加盟国は、国際連合と協力して、人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守の促進を達成することを誓約したので、  これらの権利及び自由に対する共通の理解は、この誓約を完全にするためにもっとも重要であるので、  よって、ここに、国際連合総会は、  社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に置きながら、加盟国自身の人民の間にも、また、加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と遵守とを国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布する。


チェックテスト@NUCT

NUCTでこのビデオについてのチェックテストを行ってください.


情報倫理は,机上の学問のための学問,ではなく,私たちの文明に直結しています.とくに,新型コロナウィルス禍の世界にとって情報倫理は喫緊の課題です.

なぜか?

新型コロナウィルス対策のための個人データの扱い,トラッキングは「人権問題」に直結するからです.

今後は,「感染者を特定しトラッキングしてその動きから濃厚接触者にアラーとを出す」,ような情報サービスが実用化されていくかもしれません.そのような情報サービスは感染症対策として有効で,新型コロナウィルスを制御できるようになるかもしれません.ですが...この情報はかなり高度な個人情報です.もし,この情報が外部に漏れたり,悪用されると重大な人権問題に直結します.

では,どうしたらいいでしょうか?

今後も高い病原性をもった感染症がパンデミックする可能性はあります.新型コロナウィルスの今後の動向もわかりません.その一方で,高度な個人情報の扱いを「どこまで,どのように許すのか?」,「そのための法律をどのようにつくるのか?」.情報プライバシーの保護,これはまさに「情報倫理」の問題です.


そのほかに,フェイクニュースによる人権侵害も「情報倫理」の重要な問題です.

虚偽報道による人権侵害として「松本サリン事件」を取り上げます.

松本サリン事件(まつもとサリンじけん)は、1994年平成6年)6月27日長野県松本市で発生したテロ事件警察庁における事件の正式名称は松本市内における毒物使用多数殺人事件[1]

オウム真理教教徒らにより、神経ガスサリンが散布されたもので、被害者は死者8人に及んだ。戦争状態にない国において、サリンのような化学兵器クラスの毒物が一般市民に対して無差別に使用された世界初の事例であり、同じくオウム真理教による地下鉄サリン事件を除けばその後も類が無い。また、無実の人間が半ば公然と犯人として扱われてしまった冤罪未遂事件[2]報道被害事件でもある。その背景には、ずさんな捜査を実施した警察マスコミのなれ合いがあったとも言われる。

ドキュメンタリー番組「テレビは何を伝えたか〜松本サリン事件の報道から」をみてください.この作品では高校生が,虚偽報道を製作することになってしまった長野放送やNHKなどの現場の製作者に取材をして,「いかにして虚偽報道が生まれていったのか」を取材し,ドキュメンタリーとしてまとめられている.

この事件が起きたのは1994年の6月27日です.20年以上前に起きた,虚偽報道による重大な人権侵害であり,情報倫理が扱うべき問題です.

この事件のあとでインターネットが爆発的に拡大し,SNSが急速に社会の隅々まで入り込んでいきます.そして,「情報製作者」がTVや新聞などのプロ集団から,素人の個人へと急速に移っていきます.つまり,SNS以前は虚偽”報道”による人権侵害だった問題が,さらに拡大し虚偽”情報”による人権侵害に拡がってしまっています.その結果生まれてきたのが「指殺人」とよばれる,インターネット上で情報により特定の個人を私刑して,自死などに追い込んでしまう深刻な状況です.

情報倫理がいかに,重要で,かつ,極めて難しい問題であるか.がわかったかと思います.ほんの10年前とくらべても,情報の量は莫大になっています.情報倫理は,私たちの生存に関わる喫緊で重要な課題なのです.

 


情報戦

「情報倫理」とはインターネット時代になって生まれたものでしょうか?

「違います」

情報をもちいた世論誘導は有史以来もちいられている戦闘行為のひとつといっていいでしょう.情報戦そのものは実際に火力は使われないですし血も流れません.たとえば,明確な意図をもって情報を操作し,支配地域の部族間をわざと憎みあうように仕向け,戦わせる.世界で起きている・起きてきた「紛争」とよばれる,代理戦争では,そのような情報操作が行われてきました.


課題@NUCT:松本サリン事件について学びましたが,テキスト中でも述べたとおり,インターネットの特にSNSでの誹謗中傷は苛烈を極め,尊い人命が失われる事案も後をたちません.わたしたちは,こうした事態に対して,どのような「情報倫理」を構築していけばよいでしょうか.あなたの考えを述べてください.


エチケット

インターネット上の「エチケット」は情報技術にともなって変わっていく.以下ではWikipediaからの引用を挙げる.

インターネットを利用する際は、まず下記の項目を理解し、留意すること - ネット上では「無知は罪」とされる。ウイルス蔓延や個人情報流出など、ネットに関する事件の大半は、コンピュータ初心者の無知に起因するものである。

以上に加えて,レポート提出など学務(大学や先生方とのやりとりなど,インターンなどでの企業宛て,マスコミなどから「名古屋大学の学生として」取材を受けた場合の連絡先アドレス)に用いるメールアドレスは「きちんと名前がわかるメールを使う,名大メールなど」.

学生であっても,公務と私用のメールアドレスは分けておくことが,エチケットであり望ましい.公用のメールに,友人などとのニックネームによるメールアドレスを使うことは避けるほうが”身のため”です..そのメールを受け取る相手は「仕事として」そのメールをひらくわけなので..まさにエチケット(社会常識)としてです.どんなに簡単な問い合わせなどであっても,公用でメールをおくるならば,私用のSNSのメールアカウント(携帯電話会社のドメインメール, docomoメールなど)を使用することは慎んだほうが”身のため”です(すこし「あれっ」と心証を害しても,相手は何も言ってくれないのが普通ですから..).たとえば,公的なメールのやりとりには,名大のWEB mailサービスなどを使用することをおすすめします.


著作権について

とりあえず,以下のリンクから,チェックテストをしてみましょう

jl5-1

http://kids.cric.or.jp/intro/test.html

よくある例として,

  1. 違法アップロード,ならびに,ダウンロード
  2. Webページに無断で写真や動画を掲載する.

などがあります.注意しましょう.日本は著作権侵害に対する刑法罰がとても重いです.違法薬物の所持などよりも,著作権侵害のほうが重い罪となります.特に,2010年の著作権法改正により違法アップロードのみならず,違法と知っていてダウンロードしても罰せられます.

著作権侵害は犯罪であり、被害者である著作権者が告訴することで侵害者を処罰することができます(親告罪。一部を除く)。著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定めれれています。

また、法人などが著作権等(著作者人格権を除く)を侵害した場合は、3億円以下の罰金となります。

さらに、私的使用目的であっても、無断でアップロードされていることを知っていて、かつダウンロードする著作物等が有償で提供・提示されていることを知っていた場合、そのサイトから自動公衆送信でデジタル録音・録画を行うと、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金が科せられます。

(https://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime8.html より引用)

今回はここまでです.

締め切りに注意してチェックテストと課題(添付ファイルをNUCTから提出)を行ってください