複雑系計算特論1および2 第10回

鈴木泰博

概要: ARMSについて.


前回の課題の講評:かなり難しかったようであるが、できている人は完答してさらに深めていた。力学系を知っているひとは、安定性の議論をご存じかとおもう。非線形系の場合は力学系の挙動を把握するのが困難なため、線形化近似を行って平衡点付近の挙動をつなぎあわせて議論する。

だが、ARMSのような離散系にはそのような理論がない(もし知っている人がいたら、「是非」教えてください)。私が知っているのはSequential Dynamicsと呼ばれているもので、これは本が1冊あるだけだ。それに、実際の計算系を解析するためには、ちょっと向かないと思う。その証左に、Sequential Dyanmicsをつかっている論文をみたことがあまりない。

だが、自然系を計算として理解する場合には「どうしても力学系」に匹敵するものが必要である。課題に出した結果も、じつは細胞内のシグナル伝達系のシミュレーションモデルを考察していった結果に得られてたものだった。その計算系を分析するために、代謝流量解析とよばれる生物学や化学(工業化学)などで用いられている方法をもちいた(興味のあるひとはチェックしてみるといいかもしれないが。。。つまるところ「線形代数」である)。

そしていろいろ分析しているうちに、P53とよばれるガンに関係したタンパク質に関する細胞内シグナル伝達系が、 となっていた.つまり,ある物質間では振動が生じるのだが,システム全体としては線形独立となっていて,全物質間では振動が生じないようになっていた.そこから「系がどれぐらい振動のモードをもっているのか?」が,課題に出したように分類できることがわかった.


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課題 LVモデルを決定的ARMSでルンゲクッタ法をもちいてシミュレーションしなさい.

 

今回は以上です.締め切りに気をつけてNUCTから課題を提出してください